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東京地方裁判所 昭和40年(手ワ)1816号 判決

理由

被告が原告主張の約束手形を振出したことは当事者間に争いがない。そして成立に争いのない甲第一号証によれば、訴外斉藤昌彦が白地式裏書により原告に右手形を裏書譲渡し、原告が現にその所持人であることおよび右手形の振出日欄には昭和四〇年一月一五日と白地補充されていることを認めることができる。

そこで被告主張の裏書連続欠の抗弁について按ずるに、前記甲号証によれば、右手形の名宛人欄には「アイデアの東和」と記載せられ、またその裏面の第一裏書欄には裏書人として「アイデアの東和、斉藤昌彦」という記名があり、その記名下に「アイデアの東和、斉藤昌彦」という印影が存在していることを認めることができるから他に特段の主張立証のない本件では右裏書人欄に表示された「アイデアの東和」と「斉藤昌彦」は、同一人格であり、その記載の体載からみて前者は後者の通称ないしは商号を示しているものと認めるのが相当である。よつて右手形の裏書は連続しその欠はないから、被告の右抗弁は採用することができない。振出日欄を昭和四〇年一月一五日と補充しされた手形が昭和四〇年七月六日の本件口頭弁論期日に証拠として提出されたこと記録上明らかであるから被告は原告に対し、上記約束手形金二五万八、五〇〇円とこれに対する前記手形提出の日の翌日である同年七月七日から支払ずみに至るまで商事法定利率の年六分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。

よつて、原告の本訴請求は正当であるから、これを認容する〈以下省略〉。

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